埼玉武蔵ヒートベアーズは埼玉県熊谷市に本拠地を構えており、2007年に設立された「ルートインBCリーグ」に所属。これまで2度地区優勝に輝き、2023年には初めてリーグ年間王者に輝いた。今回は、川口市出身で中継ぎの要・長坂拓夢選手と、主将で4番を務める上田大輝選手に、埼玉の球団で得た手応えや日常の過ごし方を聞いた。
芽生えた若手選手への想い
ーー上田選手は今季から主将を務めていますが、どういう経緯で就任を伝えられましたか?
元々来季に向けたチームについていろいろ会話をしていたなかで、昨年の年末に僕が挨拶したタイミングで「来年は主将を任せるからよろしく」と監督からメッセージが来て伝えられました。

上田 選手
ーー主将に就任してからご自身のなかで変わったことはありますか?
大きく変わったことはないんですが、言いたいことも言わないといけない立場にはなったので、「周りを見られるように」というのは思っています。大半が僕より若い選手なので、僕なりに伝えられることはあると思いますし、そこは変わったところなのかなと思います。
自分自身が25歳になった今、チームでは3年目。みんなが一杯一杯になっている時は冷静にプレーすることを常に心がけています。

上田 選手

ーー長坂選手には上田選手の主将としての姿はどう映っていますか?
上田は責任感が強い選手で周りを見られる選手だとは思っていて、主将には最適かなとは思います。言いたくないことも言ってくれているので、僕より年下なんですが、頼れる存在かなとは思います。

長坂 選手
ーー長坂選手は埼玉県川口市出身で地元のチームでプレーしています。埼玉の地でプレーして、何か得られている実感や喜びはありますか?
埼玉はファンのみなさんがとにかく熱くて、それはプレーしていて楽しい。ファンの熱さにこちらが圧倒されるくらい応援してくださるので、そこに応えなければいけないという状況を楽しみながら日々を過ごしています。

長坂 選手
ーーちなみにご家族が応援に来たりはされるのでしょうか?
僕の親は毎試合来るんです。ビジターのデーゲームにも足を運んでくれていて、上を見るといる(笑)いつも同じように1席くらい空けて見ていてちょっと面白いです。僕やみんながプレーしているのを見るのが好きみたいなので、それは親孝行ができているかなと思います。

長坂 選手

子どもたちへ届ける楽しむ姿勢
ーー上田選手は埼玉という地でプレーしていて何か感じることはありますか?
社会人時代はどちらかというと企業の方が応援に来るという感じだったんですが、こちらではファンの方が来てくれて応援団もいる。毎試合のように遠くまで応援に来てもらって、それには驚きました。

上田選手
ーファンの方と実際に触れ合ったりする機会は多いですか?
それはたくさんあります。チームのイベントもありますし、僕らからの距離が近い状況なので、こちらからスタンドにいるお客さんに対して話しかけることもありますし、そういうところで交流する機会は多いです。常連さんとは友だちと接するみたいな感じです。

長坂 選手
ーー上田選手も毎回応援に来てくれる方は覚えていたりしますか?
それはもちろん覚えています。いつも来ていただいてるファンの方はいますし、自分のことを知ってくれている方もいるので、そういった方はほとんど覚えていると思います。なかにはたまたま足を運んでくださった方もいると思うので、何か一つでも楽しんで帰ってもらえたらと思っています。

上田 選手

ーーなかにはこれから野球を始めたり、今野球をやっている子どもたちもいると思います。そういう方にこういうプレーを見てほしいという想いはありますか?
僕が一番見てほしいのは野球を楽しんでやっている姿。野球にはいろんな状況があって、プレッシャーもありますが、楽しんでやっている姿を子どもたちに見せるということを一番意識してプレーしています。

長坂 選手
ーー上田選手はいかがでしょう?「子どもたちに自分のこういうプレーを見てほしい」というポイントはありますか?
僕はバッティングです。打席での姿は見てほしいですし、自分が一番自信があるところではあるので、そこは見てもらいたい。あとは、グラウンドで野球をするのはこれだけ楽しいんだよ、というのを見てほしいですし、勝ち試合を見せてあげることで子どもたちもより盛り上がると思うので、1試合でも多く見せられたらとは思います。

上田 選手
試合前に欠かせない“ルーティーン”
ーーおふたりは試合の前後などに「決まってこれはやる」というルーティーンはあったりしますか?
僕は歯磨きですね。中継ぎなので5回の(グラウンド)整備中くらいにブルペンに行って準備をするんですが、その前に必ず歯磨きをして自分を綺麗な状態にしていくのがルーティーンです。

長坂 選手
ーーそれはいつから続けているのでしょうか?
去年から始めました。試合前にコーヒーを飲んだりするので、(そのままの状態は)なんか嫌だなと思って。「綺麗な状態で行きたい」と感じて、そこからルーティーンにしています(笑)自分のなかで「清潔でいたい」と思って続けています。

長坂 選手
ーー上田選手はどうですか?真面目なルーティーンでも良いですよ。
僕も真面目なんですけど!(笑)

長坂 選手
特にこれというものはないんですが、予告先発があるので前日にその投手のイメージを頭に入れて寝るというのはあります。あとはそっち系(面白系)でいうとなんでしょう?

上田 選手
そっち系って(笑)

長坂 選手
シーズン中には髪の毛をストレートにするというのはあります。1年目に僕はパーマをあてていたんですけど、めちゃくちゃ調子が悪かったんです(笑)髪型をシーズンでほとんど変えないというのは決めています。

上田 選手

ーー今シーズンのヒートベアーズは上位に行く可能性を残しています。今シーズンどのような戦いをチームとして見せていきたいですか?
もちろん優勝を目指していますし、そこを狙える位置にはいる。この1カ月が勝負だと感じています。理想としては先行逃げ切りの形かなとは思うので、できるだけ早く点をとって投手もなんとか粘ってその1点、2点をしっかり守り抜くというのが理想かなとは思います。

上田 選手
ーーそのなかで打率などご自身の成績では個人的な目標は持っていますか?
打率はあまり気にしないようにしています。よく監督も「打率は変動するもの」と言っています。それよりは、安打数や出塁率を求めてやっています。

上田 選手
ーー長坂選手は投手としての立場でどのような投球を見せていきたいですか?
僕も防御率など数字を気にするよりは、今は8回を任されているのでなんとか試合に負けないために、勝った状態で9回の守護神に渡すということを意識したいです。

長坂 選手

ーーこれからおふたりは野球選手として、どういう人生を過ごしていきたいですか?
結果の世界なので「成績を残す」ということはもちろんあるんですが、野球人である前にまずは「人として成長していく」ことが大事なんじゃないかなと思います。それなりに経験は積んできているので、若い子たちに伝えながら、自分も人として一緒に成長していけたら良いと思っています。

上田 選手
僕は記憶に残る選手になりたいです。「この人は楽しんで野球をやっているんだな」とずっと思ってほしいと思いながらプレーはしているので、それを真似してもらえるような選手になりたいです。

長坂 選手
おわりに
目標とするBCリーグ制覇に向けて主力としてチームを牽引する長坂選手と上田選手。負けられない戦いに挑む埼玉武蔵ヒートベアーズを、是非会場で盛り上げましょう!