「WEリーグ(SOMPO WEリーグ)」は、日本初の女子プロサッカーリーグとして2020年に設立。日本女子サッカーの強化に加えて、「女子サッカー・スポーツを通じて、夢や生き方の多様性にあふれ、一人ひとりが輝く社会の実現・発展に貢献する」ことを理念として掲げ、多様性社会の実現やさまざまな社会問題の解決に向けた活動にも力を注いでいる。
キャプテンとしてチームを牽引するDFの杉澤海星選手と、昨季はシーズン途中加入ながらもチームトップスコアラーの6得点をマークしたFWの齊藤夕眞選手に、8月10日に幕を開けた2025/26シーズンの抱負や目標を語ってもらった。
RB大宮アルディージャWOMENとして迎える新たなシーズン
――クラブは昨年10月、RB大宮アルディージャとして新たなスタートを切ることになりましたが、この1年間にどのような変化がありましたか?
前身の大宮アルディージャVENTUSとして活動していた頃も、過ごしやすい環境でプレーさせていただいていましたけど、レッドブル体制に変わってからは練習環境や食事や飲料などのサポートがより充実し、サッカーに集中しやすくなったように感じています。今季は周囲からの期待も高まりを感じますが、しっかり結果を残して、恩返しをしたいという思いです。

杉澤 選手
――逆に変化のない点はありましたか?
私は2021-22シーズンからこのチームでプレーさせていただいていますが、明るく温かいチームカラーや、選手の雰囲気はあまり変わっていないように思います。今も昔も変わらず、選手みんなで元気で賑やかな日々を過ごしています。

杉澤 選手
――齊藤選手は、昨季ウィンターブレイク明けにチームに加わりましたが、RB大宮アルディージャWOMENはどのようなチームだと思いますか?
私は昨季途中に移籍してきたばかりですが、本当に雰囲気の良いチームだと思っています。対戦相手だった頃から、選手同士が良い関係を築いているように見えましたけど、実際にチームの一員になってみて、それをより強く感じるようになりました。設備も整っていますし、練習しやすい環境でプレーさせていただいていることに感謝しています。

齊藤 選手
キャプテンとベテランが語るリーダーシップ

――杉澤選手は、今季はキャプテンとしてチームを牽引することになりました。チームをまとめる秘訣や、理想のキャプテン像などはありますか?
もちろんトップリーグのチームでキャプテンを任されるのは初めてですし、リーダーとして何かを語れるほどのものを持ち併せていませんが、あえて言うならばチームの誰よりも「上手くなりたい」という思いを持って練習に取り組んだり、意識的に声をかけることです。まだまだ慣れない点はありますが、時に明るく、時に引き締まった雰囲気が作れるように心がけています。

杉澤 選手
――杉澤選手は、十文字高校時代にもキャプテンを務められていました。学生時代のキャプテンと役割に違いはありますか?
そうですね。学生時代と比べると、まったく違うものだと思います。
高校生のチームはあまり年齢差もないですし、青春時代独特のみんなが熱くなれる雰囲気もあって、自分が何も言わなくても、みんなが思いを一つにして頑張ってくれるようなところがありました。でも今は、在籍する選手の年齢層も広いですし、1年間通してシーズンを戦うことになるので、それぞれの目標や熱量を一つにする難しさはあるのかなと感じています。

杉澤 選手

――齊藤選手は、チームで年下の選手と接する場面も増えているように感じますが、何か心がけている点はありますか?

基本的には、色々な個性の選手がいてこそ一つのチームだと思っているので、年下の選手を萎縮させてしまうことのないように気をつけています。チームの目標を成し遂げるために厳しさが求められる場面も時にはありますが、それ以外はみんなが自由に過ごせる空間作りを意識しています。

齊藤 選手
――杉澤選手は、2022年に前十字靭帯を損傷し、翌年に復帰されました。思い通りにならない状況をどのように乗り越えられてこられたのでしょうか?
今振り返ると、無理に気持ちを切り替えようとしないことが大切なのかなと思います。私の場合は、『上手くいくのも、上手くいかないのも自分だから……』と感じるタイプなので、気持ちを切り替えるために何か特別なことをすることもありませんが、それでも落ち込んでしまった時は、いろいろなことを考えたり、大好きな甘い物を食べたりして、前向きに過ごすことを心がけていたかもしれません。

杉澤 選手
――齊藤選手は昨季途中にチームに加わり、6得点を記録されました。得点を量産するための秘訣があれば聞かせてください。
あえて言うなら、「ボールに触れるだろうな……」と思った瞬間に、思い切り足を振ることです。試合をしていると、目の前にスペースができて「シュートを打てば入りそうだな」と思える瞬間があるんですよ。そのような状況が訪れたら、あまり細かいことは考えず、迷わずにシュートを放つことを一番意識しています。積極的にシュートを放つFWの方が相手にとっては嫌でしょうし、怖さもある。対戦していて「嫌な選手」だと思われるために、そのようなプレーを心がけています。

齊藤 選手

――シュートを外してしまった時に、どのように気持ちを切り替えていますか?
私も(杉澤)海星ちゃんと同じく、あまり落ち込むことはなくて。すぐに前進して、次の手を打ってしまうようなタイプです。「どれだけ早く次の手を出せるか」が、気持ちを切り替える秘訣と言えるかもしれません。

齊藤 選手
――8月に2025/26シーズンが幕を開けました。お二方がオススメしたいWEリーグの楽しみ方や、RB大宮アルディージャWOMENの試合の見どころをぜひお聞かせください。
WEリーグは、選手とサポーターの距離感の近さが魅力の一つだと思うので、練習で見せる和やかな表情や、あとは多くの選手がSNSに載せているオフショットと、試合での真剣な表情のギャップを皆さんに楽しんでいただけたらなと思っていますし、試合結果だけでなく、選手の個性にも焦点を当ててもらえたら嬉しいです。

杉澤 選手
実際にスタジアムに来てくださったサポーターの方に感想を尋ねると、「凛々しい表情で、すごくハードなプレーをされている選手たちの姿に感動しました」と言ってくださることが多くて。SNSなどで選手が見せる華やかな姿と、試合で必死に走り回る姿のギャップなどは、きっと楽しんでいただけるのではないかと思います。スタジアムのグルメやイベントにも力を入れているので、それらも合わせて多くの方に楽しんでいただけたらなと思っています。

齊藤 選手

――今季の目標を聞かせてください。
チームとしては、「攻守において相手よりも前に出る」というコンセプトをきちんと体現できるように、全員で頑張っていきたいです。そして個人的には、今季はゴール前でのプレーをたくさん増やしたいと思っていて。ゴールやアシストの数、クロスを上げる本数にもこだわって、結果を出せるようなシーズンにしたいと思っています。

杉澤 選手
昨季よりも順位を上げて、しっかり結果を示したい気持ちもありますが、自分自身としては、シーズン20ゴールを狙って頑張っていきたいと思っています。

齊藤 選手

続きの後編は近日公開予定です!埼玉県の魅力やお二人が取り組まれている社会貢献活動への想いなどを語っていただきました!